今や全国的に認知度が高いこころの病「うつ病」。
環境の変化や過大なストレスが引き金になり、気分の落ち込みや起き上がれないなどの身体的な影響、そして場合によっては命を絶つ可能性もある大変な病気です。
「うつ病のかたに『がんばれ』と言ってはいけない」と言われるように、以前に比べて周囲の理解は進んだと思いますが、その一方で親兄弟や夫婦間で接し方に悩む方が増えてきているのが現状です。
Google検索で「うつ病 家族」まで入れると、検索リストに以下のように出てきます。
本人も家族も、誰も悪くないのにお互いを大事にしようとするあまり苦しむというのはとても悲しいことです…。
そういった家族のこころのケアをするべく生まれたのが、家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」です。
エンカレッジ ご利用の流れ
ご利用するための手順は他のSNSのようにとても簡単です。
会員登録
メールやパスワードの登録のみで完了です。
プロフィール登録
ご利用者様とうつ病のご本人様の情報や、お二人の続柄などを登録する項目がありますが、伏せたい情報は無記入でも構いません。
投稿、閲覧
鉛筆マークのアイコンがありますので、クリックしたら投稿画面に行きます。投稿したい内容、表示させたいタグ(夫、お金などのキーワード)の登録、専門家にアドバイスをリクエストするかどうかのチェックをいれて投稿すれば完了で、非常にシンプルです。
Encourageの5つの特徴
表に出せない感情を自由に出すことができる
特徴的なのは、サイトのタイトルにある通りコミュニティ機能に特化しているところです。
他のポータルサイトのように「うつ病を知る」ことが目的ではなく、「当人の前では言えない思いを同じ立場の人だけで共有する」ことを目的としているため、リアルに共感を得られやすいというのが一番の強みです。
「疲れた」「つらい」という言葉は当然本人には言えませんし、他の人に言っても「でもあなたが頑張らないと」と言われかねません。今度はご家族がうつ病を引き起こす可能性だってあるかもしれません。
ただこのサイトでは弱音を吐いたり愚痴を言ったりすることが出来ます。他にも同じように苦しんでいる方の思いを目にすることで気持ちを共有し、抱え込んでいるストレスを軽減することが出来ます。
コメント機能つきなので他の人の意見が聞ける
今や多くの人がFacebookやLINEなどのSNSを使用しているのでコメント機能についてはなじんでいるかと思いますが、エンカレッジでもコメント機能がついていますので他の方の意見を聞くことやアドバイスを求めることも可能です。
また、投稿時にキーワードがチェックボックスで選択可能なので、キーワードごとに閲覧することが可能です。
Q&Aや専門家への相談事例も掲載
コミュニティ機能が一番の特徴ではありますが、それ以外にも専門的な見地からの回答も見てみたいという方向けに実際に専門家へ相談した事例も掲載されています。(他のNPO法人様との協力で作成されているそうです)
また、ハローワークや法テラスなど実際に相談やお世話になるところもリストアップされているので参考になるかと思います。
専門家への相談も可能
実際にサイトの中に記載されていますが、産業医や臨床心理士の方などがコメント欄で回答されています。投稿時に「専門家のアドバイス希望」という欄にチェックを入れたら、確実ではないようですがコメントで返信が来るようです。
実際にコメントを見てみましたが、さすが専門家だけあって書いている分量が非常に多いので読みごたえがあります。形式としては公式アカウントとして専門家からのコメントを掲載しているようですが、専門家の方がサイト内に実名、顔写真入りで出ているので、非常に安心感があります。
無料で使用できる
料金についてですが、登録やその後の費用に関しては無料となっています。
無料のSNSなどは広告費で運営していたりしますが、エンカレッジに関して広告はありません。
コミュニティサイトは無料が多いとはいっても運営費は当然かかるでしょうから、本当にありがたいことだと思います。
Encourageで特に良いと思ったところ
匿名性があるので人目を気にせず投稿できる
FacebookのようなSNSだと実名での登録が必須であったり、知り合いがタイムライン上にあるためにネガティブなことは思っていても中々投稿できないというデメリットがあります。その一方でエンカレッジは匿名のため、思っていることを自由に投稿することが出来ます。(自由ではありますが、良識の範囲内でのことです。エンカレッジに限った話ではなく、他の人の誹謗中傷や閲覧する人から見て過度に不快な表現は慎んでください)
身元がはっきりした専門家のアドバイスを受けることができる
コミュニティサイトにありがちなのが「自称専門家」のコメントです。本当に専門家かもしれませんが、そうでないケースもあります。ある程度もっともなことを言うので相談して人自身が非常に悩むことになるのはよくあることです。
その点エンカレッジではサイト内にお名前と職業を大々的に出していますのでその心配はありません。実地で経験されている方のアドバイスということで安心して相談できます。
Encourageの物足りないところ
自由にタグ付けができない
贅沢な要求とは思いますが、タグ付けできるものがあらかじめ決まっているので、SNSに比べて検索の自由度が高くはないと思います。
とはいっても10個以上あるのでそこまで極端に困るというほどでもないとは思います。
ページの移動が少しわかりにくい
例えば「encourageとは」というページがあるのですが、そちらに行った後戻るボタンがないのでブラウザの戻るボタン(←)を押す必要があったりする必要があるのが少し気になるかなと思いました。
利用するうえで少し気を付けた方が良いと思ったこと
非常に良いサービスと思うのですが、利用する際には一点注意したほうが良いことがあると感じました。
それは、「サイトを患者様に見られないようにする」ことです。
うつ病の方に「家族に迷惑をかけている」という意識が潜在的にある場合、ご本人が投稿していなくてもサイトを見ていることが伝わってしまうと心理的な負荷がかかる可能性があります。
サイトに登録した際には「アプリ化してほしいな」と思ったのですが、よく考えたらアプリでスマホのホーム画面にあるとぱっと見で気づかれるかもしれません。
まとめ
サイトの作りそのものはまだこれからな印象を受けますが、切り口としては非常に斬新かつユーザーに寄り添ったものだと感じました。実際の投稿内容をここで出すわけにはいきませんが、見てみると本当につらい気持ちを吐き出している方が多く、うつ病のご本人様と生活や周りの環境との板挟みで苦しんでいるご家族の気持ちがひしひしと伝わってきました。
うつ病になられた方にかける言葉としてよくあるのが「つらいことがあったら我慢しなくていいよ」というものですが、家族の方も同様の言葉が必要だということが改めてわかった気がします。そういった場を提供できるというのは非常に良いことだと思いますので、これからも続いていってほしいですね。
注意点なども載せましたが、全体としては非常に良いサービスですし、利用する方が増えるにつれてさらにためになるサイトになると思います。登録含めすべて無料ですので、ぜひ一度見られてみてください。
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